スキゾイド雑記帳

人間害悪・人間リスクについての考察

非常勤講師の言葉

機械が人間に代わって生産するようになったんでしょ?たとえば機械が人間の生産の9割を担うようになれば、人間は今までの1割しか働かなくてよくなる。そういうこと。じゃあ9割の人間はどうしたらいいかって?機械が生産するお零れをもらいながら生活すればいいんじゃないかな。そうやって色々な機械を獲得した人間は効率化による富を手に入れてきた。今までと違うのは、機械を人間が作るのではなく、機械を機械が作れるようになり、さらに管理までできるようになったこと。

そうなれば人間の出る幕はない。機械はミスをしないし感情に左右されないから、人間みたいにブレもない。個人的な感情を相手にぶつけたりしないから、必要以上にトラブルも起こさない。せいぜい故障があ るけれど、それはバックアップなどの代替手段で問題なく対処できる。人間のバックアップはせいぜい大量の紙媒体。話を戻すと、9割の仕事が機械によって行われるようになった。人間はどうしたか。働くことに執着して機械が担う9割の生産の一部を無理矢理自分たちの使命にしようとしたんだ。

人間がやった方がいい、人間は働いた方がいい、そんな妄想にとらわれて人間の社会活動を無理矢理4割まで盛り込んだ。本当に必要な人間の労働が1割、機械が5割、人間が自己正当化のために作り出した無駄な仕事が4割になったんだ。その中身はなんだろう?コミュニケーション、成長、宴会、マウンティング、年功序列、紙媒体、無駄な会議、そんなものばかり。本来再分配されるはずのお金がどんどん既得権側に流 れていく。そんな事象を許すことができなくなっている一部の人間もいるものの、結局社会はこの構造を支持した。その結果、仕事がないのに雇用を作り、その数は少なくしかも劣悪なものが紛れ込んできた。就活自殺なんていうのが社会問題になったよね。結局それも若者の心が弱いとかそんな理由で片付けられてしまったけど、どんどん人間の生き方や在り方が矛盾したものになっていった。

この4割の茶番と、機械の生産、どちらが本来の富をもたらすか、君にもわかるだろう。負の生産と再分配の拒絶により、この国の貧困はますます厳しいものになってしまった。教育に金を使わず国家プロジェクトばかり推進するようになってきたね。オリンピックなんかもそうだ。無償でボランティアをさせる話もあるら しい。こんな話ばかり聞いていたら疲れてしまうよね。だけど、ここから目をそらして社会賛美に走ってしまうと、その先には恐ろしい経過が待っている。富の食いつぶしと吸い上げ現象は、常に頭のどこかに置いておきたい。

翌週からこの教員の講義はなくなった。理由を教務課に聞いたが答えてもらえなかった。私は速やかに退学届を提出した。教務課の職員が私を馬鹿にしたような顔でこう言った。

「君、これから仕事はどうするの?学校出て、就活しないと、仕事ないよ?仕事しないと生きていけないよ?仕事仕事仕事仕事…」

以前の私なら何か一言でも言い返していたかもしれない。今は違う。この社会の構成員であることをやめた開放感で、すべてがどうで もよくなっているからだ。