スキゾイド雑記帳

人間害悪・人間リスクについての考察。個の尊重される社会とは。

巨大ダンジョン大阪を巡る【後編】

別館『スキゾイドパーソナリティ障害の生存競争』も更新中です。 http://schizoid.hatenablog.jp/


最終日。大阪はかなり歩きなれてきたので、今日は神戸を目指すことに予定変更。姫路や加古川を歩くことも考えたが、あまりに広域であり、神戸以西で未踏の場所もあるので、それらをまとめて別の機会にすることにした。駅ビルの通路前で自動ドアが混雑していた。高齢の方に道を譲ったら、笑顔で礼を言われてうれしくなる。だいたいが無視して先に通られて終わりなので、ちょっと意外だった。感謝を忘れないように、ここに書いておこうと思う。

通勤時間帯の阪急京都線南茨木から乗車する。まだ震災の痕が残っており、駅ビルも改修工事を行っているらしかった。それでも当たり前のように往来する電車のありがたみを感じる。淡路まで先着の地下鉄直通電車が来たので、空いている車内に感謝しつつ乗りとおす。だがここから先の梅田方面はかなりの混雑だった。数字や統計上は混雑ランキングの上位でもないので、単純に乗車した車両が梅田より1号車だったからというのもあるかもしれない。

十三で神戸線に乗り換える。空いている各駅停車を選択し、通勤特急や回送に抜かれながらものんびり神戸を目指す。西宮北口で下車し、駅前を歩く。阪急ガーデンの方は朝から労働者が事務所に向かう人の流れができていた。警備員のオジサンたちが限界の暑さの下で働いている。どうにかならないものかと思う。用事が済んだので再び神戸線へ。後半も各駅停車でのんびり行こうと思う。

阪急神戸線、個人的に関西の路線の中で相当に好きな部類に入る。阪神やJRより山側の住宅地を走るので、景色の変化はこれら三路線の中では少ない方かもしれないが、南側の車窓を見ると視界がとても開けているし、四季の自然もきれい、そして何より阪急特有の落ち着いた雰囲気がとても好きだ。都市と都市を結ぶ路線は街の変化が車窓から確認しやすいし、それが多岐にわたるので、乗っているだけで面白い。

神戸三宮に到着。まだ百貨店などが開店する時間には少し早く、平日のラッシュが終わった時間なので人が少ない。ラッシュ終了後の横浜駅前を思い出す光景だ。地下街に荷物を預けて、先週分のロトの当選確認をすると、1200円当たっていた。小さなあたりが続いていて、もちろん合計で得はしていないのだが、うれしくなれる。身軽になったところで神戸市役所の展望台を目指す。とりあえず街の位置関係を確認して一休みするのが目的だ。

展望台はとても広かった。この時間に役所の展望台でのんびりしている人など少ないとわかっていたが、改めてきてよかったと思う。今回は繁華街の散策はパスし、湾岸方面に出てみようと思う。神戸や兵庫、長田、須磨あたりは既に歩いているので、線路の北側で官公庁街や住宅地のうち涼しい場所、神戸高速線の沿線をプラプラすることを決める。

さっそく地下鉄の一日乗車券を購入し、海岸線で神戸ポートタワーへ。みなと元町駅からは少し離れているので、歩いている間にまたしても暑さの限界に達するところだったが、なんとかなった。上層階には観光客やファミリーが何組かいたものの、なんとか一人でも居場所を確保し、のんびり海を眺めることができた。ポートタワーを降りて波止場を経由しハーバーランド公園へ至る。この辺りで昔友人たちと昼食をとったのをふと思いだす。かなり昔の出来事だ。

ハーバーランド地下街を散策してから再び海岸線へ。そのまま終点新長田まで乗りとおしてしまった。新長田の駅前。広大なアーケードが南側に続き、街づくりにも余裕がある。道路も広い。隣の鷹取駅と並んで落ち着いた駅前の代表格だ。昨年立ち寄ったステーキ丼の店で昼食をとる。商売人のフットワークが軽そうな声を聞き、ここは関西なのだと今更ながら思う。

さらに市営地下鉄を利用し、湊川公園で下車。湊川神戸電鉄粟生線も乗り入れる乗換駅で、人通りも多い。湊川公園や荒田公園など、自然豊かな住宅街の中に商人の街が今も残っている。少し寂し気なダイエーとその近くにあった渋い喫茶店が印象に残る。

続けて県庁前で下車。兵庫県庁周辺を歩く。ここは本当に横浜のようだ。細部で違いはあるのだろうけれど、横浜と神戸の類似点を上げるとすれば、この辺りではないかと思う。坂道の佇まいもそれに近い。看板で神戸が今年で開港150年になることを知る。何かイベントが通年で開催されているのだろうか。いずれにせよ歴史ある都市には独特の雰囲気とコンテンツがあるものだと再確認する。

県庁の13階は一般開放された空間で、職員の方も普通に利用している共用空間のようだった。一人がお弁当を食べ、車いすの人も快適そうに使っていた。六甲山だと思われる山が北側に見え、南側を見れば海が広がる。この狭い・細い空間に街がある。不思議な魅力だ。

新幹線の時間まで余裕があるので、もう1件くらい商店街を見ようと思い、県庁を出て阪神電車元町駅まで歩く。次の高速神戸駅で下車。高速神戸神戸高速線の神戸駅という意味なのだろうが、近代的なものを感じさせる駅名だ。高速長田という駅も近くにあり、複数の会社線が同じ地域に密集して乗り入れていることがわかる。

高速神戸の改札を抜けると、果てしなく地下通路が続いていた。もしかしたら隣の駅まで続くのかと思って看板を見ると、どうやら新開地までずっと地下道があるようだ。そこには多数の出口、古本屋、卓球場、簡易ゴルフ場など、とてもユニークなコンテンツが存在した。地下道自体は歴史があるようで、地元の子供の絵などがいくつか掲示されていた。メトロ神戸とよばれる地下街のようだ。地元の人に愛されるマイナースポットなのだろうか。渋い道で、とても好みだった。

新開地駅から阪急へ。昼間時の阪急特急は当駅を終着駅としているので、折り返し用の中線で冷房をよく効かせて停車していた。一気に体力が回復する。もう少しだけ時間があるので、花隈駅で下車。特に用事はなかったのだが、バリアフリーの工事をしているのを知っていてそれを見ようと思ったのと、新神戸乗り入れの話が出てくると、もしかしたらこの周辺は大きく変わるかもしれないので、少しでも街を目に焼き付けておこうと思った次第。喫茶店の前に自転車が整列していた。

こうしてすべての散策を終え、三宮で荷物を受け取り、新神戸駅から新幹線で帰京した。普通の人から見たらただ駅前を降りて食べて飲んで歩いてというだけの意味不明な旅だろうし、都会に住む人間が別の都会で普段と同じような日常生活を観察するという馬鹿らしいことかもしれない。けれども、駅地下の自転車置き場や一期一会ではあるが出会った商人や地域の人、知らなかった地元の電車やバスの動き、再開発の進捗、破格の定食屋など、全然予想もしないことがほぼ確実に起こる。目的がなくプラプラしているだけで、結果的にそれが次の楽しみのきっかけになったりする。少なくとも私はそう思っていますし、趣味と好奇心だけはどんなに社会や人の群れから離れても持っていたいところですね。最後まで読んでくださった方がいらっしゃったら感謝いたします。ありがとうございました。