スキゾイド雑記帳

人間害悪・人間リスクについての考察

巨大ダンジョン大阪を巡る【前編】

別館『スキゾイドパーソナリティ障害の生存競争』も更新中です。 http://schizoid.hatenablog.jp/


関西方面のラッシュを迎えた東海道新幹線小田原駅に到着。小田原までは小田急を使ったが、学生が少ない時期なので、移動は概ね無難なものだった。小田原から新大阪行のひかり号に乗車。混雑がきつくなさそうなことと、到着時に余裕があること、後続ののぞみ号と大差ないことから、新大阪止まりの電車を選択した。車内は満席に近い。小田原から狙って乗車する人で長蛇の列ができていただけあった。

車内では通路側の席だったので、時間はほぼ睡眠に充てた。珍しく売店で弁当を買ったので食べる。美味しい。炭水化物中心の朝食をとったのは久々だ。隣の人はプレゼンの資料を作っていた。労働前の移動、本来ならば快適なはずなのに、勤務が入ったりその先の予定があったりすると、途端に落ち着かない時間になってしまう。この社会のどうしようもない宿命だろうか。米原岐阜羽島でピンポイント出張と思われる人が降車していき、通しで利用する極少ない客だけを乗せて山科のトンネルを抜けていた。京都からは目を覚まして車窓を眺める。京阪は途中で都市圏とは思えないほぼ長閑な地域を走る。

新大阪に到着。厳しい暑さだったが、ここから今回の旅がはじまる。旅というよりも大阪の土地勘をつけるためのフィールドワークに近い。攻略本なしで大阪という巨大ダンジョンをクリアできるようになることが目的だ。

まずはホテルに荷物を預けて身軽になるところから始める。今回のホテルは京阪線の沿線だったので、そこを目指して出発。自動車展示会場を横目に改札を出て、いつもの通り御堂筋線の改札へ。御堂筋線の雰囲気、本当に好きだ。大阪に来たという感じがする。高速道路と並走するあたりも都市景観を楽しめるポイントだ。

淀屋橋京阪本線へ。目的地は各駅停車しかとまらない駅なので、準急から守口市で乗り継ぐこと15分ほどだろうか。ホテルに到着した。快く荷物の一時預かりと部屋への搬入をやってくださるようで、とてもありがたかった。身軽になり、タブレットと新書1冊、充電器と貴重品だけになり、再出発。今回は大阪メトロの一日乗車券を買ったので、大日から谷町線を使うことにする。谷町線天六商店街などを歩いた際にお世話になった路線だが、久々の利用になる。

大日駅前は首都圏で言うとつくばエクスプレスの沿線のような佇まいだった。車やバスが乗り入れやすいようなロータリーになっていたり、ショッピングモールが広い導線を擁して建設されていた。平日昼間もそこそこ人が入っていた。

太子橋今市駅で谷町線を降りる。駅周辺を歩くと、マンションが並び、その間にかき氷などを売っている出店があった。暑かったのだが、これから30近い駅を降りて散策するので、ここは我慢。再び地下鉄に戻る。ここで小さな発見をする。何駅かに共通していたことだが、駅の地下1回が駐輪場になっていて、地上からの階段の両端に、自転車の車輪を滑らせることができる程度の細いスロープがついていた。これは面白いと思った。放置自転車の問題と景観の問題を両方解決し、利用者の利便性も大事にするというとてもありがたい設備だと思った。

蒲生四丁目で下車。少し歩くと、城東商店街という屋根がかかった商店街に至る。暑い中歩き、こうして屋根付きの商店街の活気に出会うと疲れを一時的に忘れる。

一日乗車券はバスも使えるので、次はバスに乗ってみる。今里方面へ南下する系統だったので、次の鉄道との交差点である鴫野駅まで乗ってみる。ここも駅前にちょっとした商店街が伸びている。随分と寂しくなってきた箇所もあるものの、昔の街が再開発で潰されずに残っていることが本当に奇跡的だと思う。精肉店の店主と団子屋の店主が談笑する中、住宅地方面へ足を進め、元の道とは別のルートで駅に戻ろうと思ったものの、次の緑橋もだいぶ近くになってきたので、そこまで歩いてしまうことにした。

緑橋から再度今里筋線へ。路線名の通りここは今里筋というとおりらしい。結構長い。東京と違って直線状の○○筋という通りが縦横に交差するのが大阪の特徴だ。だから郊外の鉄道やバスも都心まで直接乗り入れてくる。これが拠点都市の分散に寄与しているように思う。終着の今里に到着。自転車置き場やバスなども含めて面白い路線だった。路線図通りだとここから千日前線に乗り換えるのだが、ちょっと喫茶店で休憩したいくらいの暑さだったので、歩きだしてしまった。

なかなか休憩できるような場所がなく、外気も相当になってきて、頭痛が迫ってくるだるさを感じていた。そんな中、定食屋さんを見かけたので、入ってみることにした。野菜炒め定食を注文。常連が多く来る場所なのか、店主と客の会話が少々だった。とはいえ、よそ者の私にもとても親切にしてくださったし、食事も最高だった。私はタバコはまったく吸わないのだが、隣の常連が吸うたばこの煙がコーヒーの匂いと共にこちらに流れてくる。普段は忌避するタバコの煙も、なんとなくこの日は自然と受け入れられた。

外に出て歩き出すのもためらうほどの酷暑になっており、これからどこに行こうかとても迷っていた。とりあえず会計をして外に出る。鉄道のガードが見えてきたので、そっちに向かって歩いていると、近鉄の電車が通り過ぎるのが見えた。近鉄の布施駅か、今里駅か、それらが近くにあることに期待しつつ、限界の暑さの中を歩く。鶴橋・今里・布施の位置関係を勘違いしていたので、ちょっと遠回りになってしまったが、なんとか今里駅に到着。自販機でウーロン茶を購入し、尼崎方面の列車に乗り込む。

冷房の効いた車内でぼんやりしていたが、結局これからどうするのかを決めていないことを思い出す。このまま神戸方面に行くのは非効率なので、とりあえず大阪上本町を次の目的地にし、近鉄百貨店で景色でも眺めながら次の目的地を考えることにした。巨大ターミナルの上本町駅小田急や西武のターミナルよりも大きく感じた。高層階の本屋で気になった新書を購入し、予定通り大阪を一望した。

大阪三大商店街を思い出す。千林、天六、駒川中野だったかなと。天六は既に訪問し、千林は前回の京阪沿線ぶらり旅で立ち寄っているので、残るのは駒川中野だけとなった。これは行ってみるしかないと思い、再び谷町線に乗って南下する。

駒川中野の商店街は想像以上だった。しかもその日はお祭りが開催されていて、子供たちが楽しそうに遊んでいた。親御さんも楽しそうにしている。とにかく笑いが絶えない様子だ。そしてその笑いとは何の縁のない私にも、試食を勧めてくれたりする人がいる。とても面白い。縦横に広がる商店街は近鉄南大阪線針中野まで続いていた。チェーン店と古くからの個人商店が並ぶ。喉が渇いたのでマックで100円のアイスコーヒーを買った。

近鉄南大阪線阿部野橋方面を目指すと思われたが、北田辺駅周辺の車窓から商店街が見えてきた。しかも屋根付きだということで、衝動的に下車してしまった。こうした予定外の行動ができるのは一人旅の圧倒的なメリットだと思う。ここは少し寂れていた。中心部ではないので、幹線道路に立地するショッピングモールに押され気味なのは東京と同じかもしれない。

商店街を抜け、同じ道を戻るのも寂しいので、散策ついでに一番近くの別の駅を目指す。わかってはいるし学習しない自分の愚かさなのだが、結局炎天下の中を歩いてしまう。谷町線の田辺駅までは15分程度だった。駅前に訪問介護の車が止まっていた。会話が聞こえてきたが、暑さなのか利用者も事業者も苛立っているように見えた。

谷町線阿倍野へ。前から気になっていたあべのハルカスを中心とする天王寺周辺の再開発を歩き回って確認したかったのと、ここは何度も迷っており、今度こそ地理をマスターしてやりたいと思ったためだ。阿倍野で下車すると、阪堺電車が道路の真ん中を走る光景が目に入るが、それ以上に高層ビル群に圧倒される。マンション、キューズという商業施設、阿倍野センタービル、そして近鉄側にあべのハルカス、JR天王寺駅のビルとそこから北に延びる小さな商店街、裏には阪和飲み屋街があるというかなり複雑な構成だ。今回のメインダンジョンの1つ目となる。ゆっくりと攻略していくことにする。


まずはキューズ。ここはファッション関係やインテリアなどの店が揃っており、あまり自分の日常とは縁があるものではなかったが、表参道や渋谷に近い雰囲気であることはわかった。次にあべのハルカスに上ってみる。17階以上は有料で別区分だったので、今回は中層階の景色と空間を楽しむことにした。最上階は別の機会にとっておくことにした。スカイレストランや喫茶店が営業していた。ATMなどもあったと記憶している。オフィス階もあり、百貨店の直上なので一般客もビジネス利用も多かった。すいかジュースをいただくことにする。この段階でかなり体力を消耗していたので、ここで30分ほど読書しながら休憩。

その後は地上へ降りてペデストリアンデッキを一巡し、JR天王寺駅の中を歩き回り、その後阪和街で準備中の飲み屋の様子などを眺めながらプラプラ。最後は商店街を日本橋方面に少しだけ歩いてみた。天王寺駅の西側には天王寺動物園があり、巨大な公園・自然環境が広がっている。セミの鳴き声が例年と比べて異常な音を立てていたように感じたのだが、気のせいだろうか。

こうして天王寺阿倍野を後にした。天王寺からJRで新今宮に移動。南海電車で難波へ。道頓堀・心斎橋筋方面は去年歩いたので、今回はひたすら屋内を攻略する。ここが今回のメインダンジョンの2つ目となる。南海電車のターミナルビルの中にあるなんばパークス内を歩く。続けて堺筋方面に少し歩き、電気屋や繁華街、路地裏の飲み屋街が連なる場所にたどり着いた。繁華街の治安は想像通りだったが、道を選べばそこまで嫌な思いをすることもなく歩けると思っている。そして外国人観光客が入ってきてくれていることによって全体的に街がにぎやかになり、こうした怖い場所の治安も改善しているように私は思う。

地上部を歩き終えたら地下道へ入っていく。南海電車方面から入ると、地下道の南限に相当する場所に入る。ここから御堂筋線のが縦に伸び、近鉄千日前線が横に伸び、西側にJRと四ツ橋線、東側に堺筋線があるというのが超ざっくりとした全体の位置関係らしい。店は数百件はありそうだ。全部を歩いてみたが、全然わからない。地図なしではまったく歩けない。これは明日も明後日もここを使って徹底的に歩くしかないと思った。

良い時間になったので、南海側の地下街に戻り、大阪名物3点とビールのセットで軽く飲む。隣のお客さんが店員と楽しそうに会話していて、こちらも気持ちが和む。平日だったり時間帯だったりするのだろうが、関西は全体的に商業施設の総数に対して飲食店が多いような印象を受ける。どこに行っても満員でイライラしながら席が空くのを待つ東京や横浜の飲食街と混雑度が全然違うように思えたのだ。

夕食の後、さらに足を進め前回訪問した道頓堀側に出てみる。今回は御堂筋を北上したので、人の流れはそこまで窮屈ではなかった。むしろあれだけの繁華街、テーマパークに近い巨大都市とビジネス街の道路が近接していることが面白い。このまま梅田まで歩いても良かったのだが、そうすると暑さで悲惨なことになりそうだったので、おとなしく地下鉄に乗ってみる。

普通に乗るのもなんだか面白味がないので、少し南西に戻り、四つ橋線を使うことにする。四つ橋線は大阪地下鉄の中でも混雑が比較的緩いものとして知られていて、御堂筋線のすぐ西をほぼ同じ向きに南下し、大都市部を外れると進路をやや西に変えて臨海部へ向かうという、あまり他の路線に見ないような交通網を形成する。御堂筋線に多くの客が流れ、市営地下鉄である関係から梅田側は西梅田で終点になっているので、利用者がピンポイントになりやすいのだろう。利用したのは18時半だが、空席さえもある状況であり、平日夕方の大都市中心部の通勤電車とは思えない佇まいだった。西梅田までこの傾向が続いた。

今回の第3のダンジョン、梅田に着いた。阿倍野・難波・梅田の巨大ダンジョンを攻略本なしで歩き回り、使いこなせるようになることを目的とする一連の行程、もしかしたらこの梅田が最も難しいかもしれない。西梅田で下車したので、そのままガーデンシティ方面へ地下道を歩く。人通りは多くないが、新宿の京王地下道に似た雰囲気だ。とても広い。最西端で地上に出ると阪神高速に覆われた西梅田公園があり、国道を進むと阪神電車の福島駅が見えてくる。歩道がとても広く、自転車利用も多いようだ。このあたりは典型的なオフィス街で、飲み屋などがあるものの、街全体はきちんと整理されている。

福島から阪神梅田まで一駅乗る。阪神電車は山陽へ直通し姫路までの特急が終日運転されているので、長距離通勤人口も多路線と比べて多めなのだろうか。何となく他の路線のターミナル駅よりも混雑している感じがしたし、特に特急の混雑が顕著に見えた。

そして再びの梅田駅。今度は阪急方面へ歩く。最北端の阪急かっぱ横丁(古い飲み屋街)を目指して一つ一つ位置を確認しながら北上していく。JR大阪駅の北側に出ると、線路の南側に阪急百貨店がある。これが駅ビルだといつも勘違いしてしまうのだが、駅ビルが入るのは阪急三番街の方で、ここではない。阪急はJRの線路を挟んで両サイドの区画を有していることになり、大阪駅周辺での阪急の力が強いんだろうなと勝手に推測する。デパートは用事があるときに行くとして、三番街の地上階に「新梅田食堂街」という超絶ディープな飲食エリアを見つけたので、早速行ってみることにする。

上手く言葉でいえないし、その時代を知らないので勝手なことは言えないが、まさに昭和の都会を絵に描いたような感じだ。東京の上野・浅草・五反田・神田・千住などの下町風情が、都会のターミナルビルの1エリアに、それも治安も心配ない形で存在している。100種類以上に及ぶ店舗が狭い通路に凝縮されていた。いつか、時間を気にせずにこういう場所で終電まで食べ歩き、飲み歩きをしてみたい。

夕食後に既に2時間以上歩いているので、ビールの酔いもほぼなくなっていた。(1杯なので酔いがそもそもなかった可能性もある)まだ時間はあるので、阪急で隣の中津駅に向かう。ここは駅を降りると鶴見線国道駅のような渋い光景が見られることをどこかで聞いていたので、実際に現地を訪問した次第だ。営業しているのかわからない居酒屋や個人商店が並ぶ、しばらく歩くと住宅地になるのだが、そこにも小料理屋やお洒落なイタリアンレストランが何軒かあった。地下鉄の中津まではそこそこ離れているようだった。中津駅入り口の横で屋台の店を発見。楽しそうな談笑が聞こえてきた。

中津から淀屋橋へ。大川を眺めながら夜景がきれいな中之島を少しだけ散歩する。このあたりは横浜の馬車道周辺に近い佇まいだ。今日一日で見た駅前や街、店、人の様子を思い出しながら、15分ほど散歩したのちに、ホテルに戻った。