スキゾイド雑記帳

人間害悪・人間リスクについての考察

サトシとタケシの分岐点

別館『スキゾイドパーソナリティ障害の生存競争』も更新中です。 http://schizoid.hatenablog.jp/


サトシがポケモンを通して世の中の格差社会に気づく。四天王や戦いの権威社会に終わりを告げようとする。タケシはポケモンドクターになるといいながら、本当は争いをやめなくなった人間の心の病を治そうとしていた。おーきどは若いときに大規模な自然破壊により絶滅や変容を繰り返したポケモンの研究をすることで人間が犯した過ちの償いをしようとしていた。争わない幸せを知ってから月日が流れた朝、あさめがさめるとピカチュウが微笑む。母が食事を並べる。今日は博士の墓参りの日だ。争いをやめてポケモンと共存することを覚えた世界。自然と共存することを覚えた世界。まさにかつての研究者たちが夢見た世界だった。そしてサトシの父も。人々のこころにも、約半世紀ぶりに平和が訪れた。

タケシ「なあ、今までの仲間のこと思い出してみてくれ。確かにお前の仲間はみんなお前のことを理解してくれていた。お前の成功を願っているし、お前の活躍を今でも応援している。でもな、1つだけお前は決定的な過ちを犯した。それはな、仲間の変化に気づかなかったことだ。お前がどんどん前進していく中、他の仲間は毎日どんな顔をしていたか覚えているか?人間は誰しも悩む。お前と同じように壁にぶち当たったりどうしようもない悲しみを抱え込む。敗北の数もその一つだ。お前はそういう変化に気づいていたか?」

タケシ「成功や栄光、名誉は次から次へと増大する。それは努力の証だ。ただなあ、世の中お前みたいに恵まれた境遇や幸運に恵まれる人間ばかりじゃないんだ。多くの人間はバトルで自尊心を失い、立ち上がるだけでも多くの時間と覚悟を必要とする。それを克服するまでの暗闇は想像以上に大きいんだ。途中で何度も負の感情に支配され、人間が信用できなくなり、孤独に陥る。お前はそういう経験はあまりなかったかもしれないが、ケンジやアイリスだってそういう苦い記憶に苦しんできた。もちろんそれを完全に察知しろとはいわない。でも、仲間への気配りはできたはずだ」

タケシ「自分がどんどん成功していくと、周囲の人間もそのペースで生きているという錯覚に陥る。自分が主役だと思い込んでしまう。でも現実にはすべての人間が感情を持ち、日々変化するんだ。そしてそこでの感情はあらゆる経験と連動する。そんな複雑な事の経緯にお前はちゃんとついていこうとしただろうか。理解しようとしただろうか。ただ自分が100%信頼されていると勘違いしては来なかったか?もちろんみんなはお前を信頼しているし、お前の幸せを願っている。だからお前が身勝手になってきたことに気づいても何も言わない。でもな、それはだんだんと不信感へと変わっていくんだ」

タケシ「自分の世界観、自分の価値観、自分のリズム…確かにこれは最優先すべきことだ。でもな、自分のことにつながらないことを軽視する態度は必ず相手には分かってしまうんだ。仲間への関心、献身性、信頼…これらはすべてが揃わないと人間関係にはつながらない。一番危険なのは過信だ。お前は今までの仲間が自分の理解者であると信じてやまなかった。でもな、それは理解者という仮面をかぶってお前を傷つけないようにする優しさが生んだ演出であるかもしれない。こんなことをいうと、俺だけはお前の本当の親友だなどと思うかもしれないが、俺だってサトシに言えないことは数え切れない。人間っていうのはそういうもんだ。不完全なんだ。だから不完全を埋めようという気持ちを伝えていくことが大事なんだ。ポケモンとの関係もそうだ。過信は不信の始まりだ。」

タケシ「俺がポケモンドクターを目指したのは、確かにポケモンを助けたいからだ。でもな、闘いを通して視野を失った人間をどうにかして救いたかった。自分のことしか見えなくなってきたこの世界の人間は、他人を常に窮地に追い込む。そんな様相を帯びたこの社会に終止符を打ちたかった。金持ちや四天王を中心に強いものが弱いものを傘下に置く今の体制はおかしい。そう思わないかサトシ。お前は力を持っている。四天王にも劣らない。その力をどう使うかはお前しだいだ。お前はいろいろな人に勝ち、いろいろな人を助けても来た。ただそれは同時にいろいろな人を敗北させ、いろいろな人の夢を奪ったことでもあるんだ。それがわかったら、あとはどの道を行くか、お前が決めればいい。」