スキゾイド雑記帳

人間害悪・人間リスクについての考察

姉の作るケーキ

別館『スキゾイドパーソナリティ障害の生存競争』も更新中です。 http://schizoid.hatenablog.jp/


ケーキを作るのが好きな女性がいた。ケーキを作っている時間はいつも楽しそうで、彼女のその時の笑顔に癒やされる人は多かった。彼女は不器用だったが、一つ一つ丁寧に作り、形はイマイチでもとても美味しいケーキを作った。ある日、何人かで午後にお茶をすることになり、彼女がケーキを差し入れした。

彼女のケーキを食べた途端、丁寧に作られている美味しさと、楽しそうに作る笑顔がイメージされ、幸福な気持ちになった。しかし、口の悪い人物が「不格好でマズイ。買ってきた方がマシ」と、小馬鹿にしたような口調で、彼女がいる前で言った。私は怒りが込み上げてきて、その人に意見しようとした。

すると彼女は「いいよ、確かにマズイよねこのケーキ」と私を止めた。私はその助言さえも鬱陶しいと思うほど、腹立たしさと悲しさに満ちていたが、やむを得ず黙った。その場は収束した。しかし、それ以来彼女は一切ケーキを作らなくなり、誰もが癒やされていた彼女の笑顔を見ることは二度となかった。

あれから長い月日が過ぎ、私はケーキ屋に入った。すると、横にいた客がディスプレイのケーキを見て「これ私嫌い。美味しくないし。」と言い放った。私はあの日のことを思い出した。物にも気持ちが込められている。それを批評家気取りで否定することが、どれほど残酷なことか。人はあまりに無自覚だ。